年次有給休暇を取得した日の賃金については、次の3つのうち、そのいずれかを支払う必要があります。

  1. 平均賃金(労働基準法第12条)
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額(5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げる。)

※ 時間端の年次有給休暇の賃金は、その日の所定労働時間で除して得た額

(原則)就業規則等にあらかじめ定めるところにより、上記1.又は2.の額を支払う必要があります。

(例外)労使協定により、3.の額を支払う旨を定めたときは、3.の額を支払う必要があります。

就業規則に定めなければならないことについては、労働基準法89条に、次のように定められています。

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  2. 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  4. 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  5. 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
  6. 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
  7. 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  8. 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  9. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  10. 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
  11. 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

上記1.と2.と3.については、必ず就業規則に記載する必要があります(絶対的必要記載事項といいます)。

それに対して、4.以降については、「○○の定めをする場合には」となっておりますので、会社にそのルールがある場合には、就業規則に記載する必要があります(相対的必要記載事項といいます)。

現在は、適用除外とされている65歳以上の労働者についても、平成29年1月1日より「⾼年齢被保険者」として雇⽤保険の適⽤の対象となります。

なお、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている「高年齢継続被保険者」は、平成29年1月1日以降、自動的に「高年齢被保険者」となります。

また、高年齢被保険者の雇用保険料の徴収は、平成31年度までは免除となります。

 

(例1)平成29年1⽉1⽇以降に新たに雇⽤した場合

雇用した時点から⾼年齢被保険者となりますので、雇用した日の属する月の翌月10日までにハローワークに届出をする必要があります。

(例2)平成28年12月末までに雇用し、平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇⽤している場合

平成29年1⽉1⽇より⾼年齢被保険者となりますので、平成29年3⽉31日までにハローワークに届出をする必要があります。

(例3)現在⾼年齢継続被保険者である労働者を平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇用している場合

⾃動的に⾼年齢被保険者となりますので、届出は不要です。

11月第2週目、過労死事件を契機に、電通本社等に労働基準法違反の容疑で東京労働局による強制捜査が入ったことが報じられています。

この電通問題、なにが違法なのでしょうか。

そもそも、労働基準法32条では、使用者に対して、1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならないとしています。そして、これに違反すると罰則の適用があります。

ただし、時間外及び休日労働に関する労使協定(これは労働基準法36条に規定されているため、「36協定」と呼ばれています。)を締結し、労働基準監督署に届け出れば、その協定で定めた時間数まで残業させることができます。この36協定の届出無しに、または、この36協定で定めた時間数をオーバーして残業させた場合には、違法な時間外労働とされ、前述同様に罰則の適用があります。

この36協定で締結する残業時間数には、原則的な限度が設けられており、1か月は45時間とされています。しかし、この限度には例外があり、繁忙期などについて、特別条項で別に定めをおいた場合には、この45時間を超えて(例えば80時間など)協定することが認められています。

ただし、上限なく何時間でも協定してもよいわけではなく、80時間を超えて協定した場合には、今度は長時間労働による労災(健康障害)の危険性があることから、36協定の届出時に80時間以内とするように労働基準監督署より指導がなされます。

電通の場合、この特別条項で定めた時間数が1か月70時間でしたが、実際にはこの時間数を大幅に超えた時間数の残業がなされている疑いがあるようです。このため、東京労働局による強制捜査を受けているようです。ただ、通常、労働基準監督署の調査・指導の場合には、「捜査」といわず、「臨検」といいますが、今回は「捜査」といわれていますので、労働基準法違反が見つかった場合には、検察庁に送る「送検」(その後は刑事裁判になります。)が前提になっているようです。

以上のように、残業代(割増賃金)を支払っているかどうかにかかわらず、36協定で定めた時間数を超えて労働させた場合には、違法な時間外労働とされます。

当然ながら、違法な時間外労働かどうかにかかわらず、残業させた時間数に応じた残業代(割増賃金)を払わなかった場合にも、労働基準法違反となり、罰則の適用がありますし、その労働者から民事的な賃金支払請求を受けることになります。

多数の労働者を使用する会社(事業場)では、その労働者が就業する上で守らなければならない規律や、賃金、労働時間などの労働条件について、具体的な規則を設けています。これが就業規則です。

就業規則は、会社から見れば、多数の労働者との労働契約を集合的に処理するものとして、一律に労働条件を定めたり、職場の規律を定めたりすることができますので、職場の規律維持を目的に作成されます。

また、就業規則は、その事業場の労働条件の最低基準を定めたものとしての意義も有しています。

労働基準法89条には、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について就業規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届出なければならない旨が定められています。