元方事業者とは、労働安全衛生法において、業種にかかわりなく、一の場所において行う事業の仕事の一部を下請負人に請け負わせているもので、その他の仕事は自らが行う事業者をいいます。

なお、事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二つ以上あるため、その下請負人がさらに孫請けに下請させるような数次の下請負関係があるときは、その請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者が、元方事業者となります。

労働契約とは、労働契約法第6条に次のように定められています。

第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

ここで、「使用者に使用されて」とは、使用者の指揮命令に従って労働に従事することと考えられます。

したがって、労働契約は、労働者が使用者の指揮命令に従い労働し、使用者はその労働に対して賃金を支払う契約であると考えられます。

また、この契約は、「合意することによって成立」しますので、口頭での合意でも問題ありませんし、必ずしも契約書は必要ありません。(もちろん、契約内容に後で問題がないように契約書はあった方がよいとは思います。)

労働基準監督署には、この労働基準法等の法律について取締りを行う「労働基準監督官」が配置されています。(労働基準法は罰則付きの法律です。)

そして、労働基準法には、以下の監督機関が定められています。

厚生労働省労働基準局

都道府県労働局

労働基準監督署

<労働基準監督官等の権限と義務>

労働基準監督官は、事業場や寄宿舎その他の附属建設物に臨検したり、帳簿や書類の提出を求めたり、使用者や労働者に対して尋問をしたりすることができます。

そして、労働基準監督官は、法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うことができます。したがって、悪質な法違反については、検察庁へ送検をすることができます。

また、行政官庁(労働基準監督署長)は、労働基準法を施行するために必要があると認めた場合は、使用者や労働者に対して、必要な事項を報告させたり、出頭を命じたりすることができます。これについては、労働基準監督官も、同様です。

もちろん、労働基準監督官には、守秘義務が課されており、職務上知り得た秘密を漏らしてはなりません。労働基準監督官を退官した後も同様です。

労使協定とは、使用者が、当該事業場に、

  • 労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者

との間に締結した書面による協定のことです。

また、この労働者の過半数を代表する者について、労働基準法では、

  • 監督又は管理の地位にある者でないこと
  • 投票や挙手等の方法による手続きにより選出されたものであること(使用者の意向で選出された者はダメです。)

としています。

労働基準法で規定されている労使協定は以下の14があります。

  1. 貯蓄金の委託管理(18条2項)
  2. 賃金の一部控除(24条)
  3. 1か月単位の変形労働時間制(32条の2)※
  4. フレックスタイム制(32条の3)※
  5. 1年単位の変形労働時間制(32条の4)※
  6. 1週間単位の非定型的変形労働時間制(32条の5)※
  7. 一斉休憩の例外(34条2項)※
  8. 時間外・休日労働(三六(さぶろく)協定)(36条)※
  9. 代替休暇制度(37条3項)※
  10. 事業場外労働のみなし労働時間制(38条の2 2項)※
  11. 専門業務型裁量労働制(38条の3)※
  12. 時間単位年次有給休暇制度(39条4項)※
  13. 年次有給休暇の計画的付与(39条6項)※
  14. 年次有給休暇中の賃金を健康保険法で定める標準報酬月額にするとき(39条7項)※

特に「時間外・休日労働(三六(さぶろく)協定)(36条)」は、事前に労働基準監督署に届け出ておかなければ、時間外労働をさせることができないので注意が必要です。

なお、上記※印の労使協定は、労使協定に代えて、労使委員会又は労働時間等設定改善委員会の決議を行うことができます。

労働安全衛生法で、事業者とは、その事業の実施主体のことです。したがって、個人企業では事業主個人のことで、株式会社や有限会社などの法人では法人そのもののことです。

ただし、労働安全衛生法は、次のような一定の場合には、事業者以外の者も義務主体として規定しています。

  • 元方事業者(29条)
  • 特定元方事業者(30条~30条の2)
  • 注文者(31条~31条の3)
  • 請負人(32条)
  • 機械等貸与者(33条)
  • 建築物貸与者(34条)

また、労働安全衛生法での労働者の定義は、労働基準法と同じとされています。すなわち、実態として、使用従属関係が認められれば、他人の指揮命令下に使用されて、その労働の対償として賃金を支払われていれば労働者であるといえます。

したがって、正社員、準社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員などの名称にかかわらず、労働者となります。

ただし、同居の親族のみを使用する事業における労働者と家事使用人は除かれます。