労働基準法第39条では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」としています。

この出勤率については、次の式で計算します。

(出勤率)=(出勤した日数)/(全労働日)

ただし、次の日については、全労働日に含みません。

  1. 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であって、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でない日(例:不可抗力による休業日、使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日、正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日など)
  2. 代替休暇(労働基準法第37条第3項に定められた休暇)を終日取得した日

また、次の日については、出勤したものとして計算する必要があります。

  1. 遅刻、早退などで一部でも出勤した日
  2. 業務上傷病にかかり療養のため休業した期間
  3. 育児・介護休業法に定める育児休業又は介護休業をした期間
  4. 産前産後の休業期間
  5. 年次有給休暇を取得した日

労働基準法第39条では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」としています。

ここでいう「継続勤務」とは、労働契約が存続している期間、すなわち、在籍期間をいいます。

これは、勤務の実態に即して、実質的に判断すべきものとされており、次の場合には、実質的に労働関係が継続している限り継続勤務していると考えられ、勤務年数を通算する取り扱いがなされます。(昭63.3.14基発150号)

  • 定年退職後引き続き嘱託等として再採用している場合(退職金を支給した場合も含みます)。ただし、定年退職と再採用との間に相当期間があり、客観的に労働関係が断続している場合にはこの限りではありません。
  • 有期雇用者が雇用契約を更新され、6か月以上に及んでいる場合で、その実態より引き続き雇用されていると認められる場合。
  • 在籍出向の場合
  • 休職をしていた者が復職した場合
  • 契約社員やパート社員を正規社員に切り替えた場合
  • 会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括継承された場合
  • 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続している場合

 

労働基準法第39条では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」としています。

すなわち、使用者は、

  1. その雇入れの日から起算して、6か月間継続勤務していること
  2. その期間の全労働日に8割以上出勤したこと

1.と2.の両方の条件を満たした労働者に対しては、継続又は分割した10労働日の年次有給休暇を与える必要があります。

なお、1年6か月以降は、次の日数を与える必要があります。

  • 6か月・・・10労働日
  • 1年6か月・・・11労働日
  • 2年6か月・・・12労働日
  • 3年6か月・・・14労働日
  • 4年6か月・・・16労働日
  • 5年6か月・・・18労働日
  • 6年6か月以降1年ごと・・・20労働日

そして、年次有給休暇の取得は、以下の手順になります。

  1. 労働基準法上の要件を満たしていること=年次有給休暇の権利が発生します。
  2. 労働者がいつ取得するかを指定します(時期指定)。
  3. 使用者が時季変更権を行使しない場合、年次有給休暇が成立します(=労働の義務が消滅し、その日の賃金を請求する権利が発生します)。
  4. 使用者が時季変更権を行使した場合には、年次有給休暇は成立しません。

<ご質問>

はじめまして。
有給の繰越について、ご質問させていただきます。

私の会社では、有給は繰り越せません、こちらのブログでは2年の時効があると書いておられますが、弊社の場合会社の就業規則で、繰り越さないと、記入されていたら
有給は繰り越せないのでしょうか?

それか、この労働法をもとに、経営者と話しあいを持てば、繰越することは出来ますか?

<管理人の回答>

年次有給休暇の時効は、労働基準法では、2年とされており、翌年に繰り越しすることができます。

貴社の就業規則では、繰り越すことができないと記載があるとのことですが、この点については、次のように考えられます。

労働基準法第92条では「(法令及び労働協約との関係)第九十二条  就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」とされており、貴社の就業規則は労働基準法に違反しているようです。

また、同条第2項では、「行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。」と定めており、労働基準監督署長が職権で労働基準法に違反している就業規則を変更させることができます。

まずは、この点について経営者とよく話し合って、労働基準法に記載されている最低基準を守っている就業規則にするために、就業規則を見直し・変更したほうがよいと考えられます。

Q:年次有給休暇は、発生した年だけしか使用できないのでしょうか?

もし、繰り越しができるとすれば、何年繰り越しができるのでしょうか?

 

A:労働基準法では、年次有給休暇の時効を、2年としています。したがって、年次有給休暇は、翌年度に限って、繰り越しができます。

なお、年次有給休暇の時効について、行政通達では、次のように示されています。

「問 有給休暇をその年度内に全部をとらなかった場合、残りの休暇日数は権利抛棄とみて差し支えないか、又は次年度に繰越してとり得るものであるか。
答 法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる。」(昭22.12.15基発501号)

 

【年次有給休暇の繰り越しの計算】

ここでは、週40時間働く正社員の場合を考えてみます。

勤務年数が6か月の時点で10労働日の年次有給休暇の権利が発生します。

次の年次有給休暇が発生する1年6か月までの間に5労働日使用した場合、残りの5労働日は翌年の分に繰越ができます。

勤務年数1年6か月の時点では、11労働日の年次有給休暇の権利が発生します。

この11労働日と繰越の分5労働日を足した、合計16労働日を2年6か月までの間に使用できることになります。

そして、6年6か月以上継続勤務した場合は20労働日の年次有給休暇の権利が発生しますので、最高20労働日+20労働日=40労働日の権利を有することができます。

 

【時効の問題】

年次有給休暇の時効は、2年ということですが、この場合の時効とはどのようなものなのでしょうか。また、年次有給休暇の繰越しとは、どのような関係があるのでしょうか。

 

そもそも時効とは、次のようなものをいいます。

時効(じこう)とは法律用語の一つで、ある出来事から一定の期間が経過したことをおもな法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わずに、その事実状態に適合するよう権利または法律関係を変動させる制度。(ウィキペディア「時効」より引用)

これでは抽象的すぎてわかりづらいのですが、簡単にいうと、ある出来事から一定の期間が経過すると権利が無くなったり、又は権利が発生したりすることをいいます。

労働基準法の時効については、労働基準法第115条に次のようにあります。

(時効)
第百十五条  この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

このことから、年次有給休暇の時効は2年となります。

前述の時効の考え方を年次有給休暇に当てはめて考えると、まず、年次有給休暇の権利というのは、雇入れの日から起算して、6か月間継続勤務しており、その期間の全労働日に8割以上出勤したときは、その労働者は、10労働日の年次有給休暇を取得する権利を得るわけです。

その権利を取得した日(雇入れの日から6か月経過した日)から2年で年次有給休暇を取得する権利もなくなってしまいます。しかし、逆に「労働者は、その2年間のうちに年次有給休暇を取得することができる権利を持っている」とも言い換えられます。

そして、年次有給休暇の権利(すなわち取得できる日数)は、初めて年次有給休暇の権利を取得した日(雇入れの日から6か月を経過した日)から1年ごとにさらに発生していきます。

例えば、雇入れの日から1年6か月経過した日には、その日前1年間に年次有給休暇を全く取得していなかった場合、この日に新たに取得した11労働日と1年前に取得した10労働日を合わせて、21労働日の年次有給休暇を取得する権利を持っていることになります。このため、1年ごとの繰越しという考え方が必要になるのです。

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