解雇予告手当や休業手当、年次有給休暇中の賃金などは、平均賃金を元にして計算します。(労基法12条)

1.原則的な平均賃金の計算方法

平均賃金の計算方法は、原則として

(平均賃金)=(算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額)/(算定事由発生日以前3か月間の総日数)

で計算します。

※賃金締切日があるときは、原則として、その直前の賃金締切日から起算します。

例えば、算定事由発生日が6月13日で、賃金締切日が5月31日の場合、3月1日から5月31日の期間で平均賃金を算定します。

この平均賃金は銭単位未満の端数が生じた場合は、切り捨てます。(昭22.11.5基発232号)

実際に、解雇予告手当や休業手当、年次有給休暇中の賃金などを支払う場合は、1円未満の端数を四捨五入します。(通貨の単位及び紙幣の発行等に関する法律)

平均賃金を計算するときは、次の期間とその賃金は、「総日数」と「賃金の総額」の両方から控除します。

  • 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
  • 女性が産前産後の休業をする期間
  • 育児休業又は介護休業した期間
  • 試みの使用期間

また、算定期間中の次の賃金は「賃金の総額」から控除します。

  • 臨時に支払われた賃金(私傷病手当や見舞金など)
  • 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの(現物給与)

2.請負や日雇労働者などの場合の平均賃金の計算方法

平均賃金を算定するとき、賃金を日、時間によって算定する場合や出来高払いその他の請負制によって定められる場合は、原則的な平均賃金の計算方法とは少し異なります。

原則的に平均賃金を計算した金額と次式を計算した金額のいずれか高い方が平均賃金となります。

(最低保障額)=(算定期間中の賃金の総額)/(算定期間中の実際に労働した日数)*60/100

また、賃金の一部が月、週、その他の一定の期間によって定められている場合は、次式を使用します。

(最低保障額)=(その部分の賃金の総額)/(その期間の総日数)+(算定期間中の賃金の総額)/(算定期間中の実際に労働した日数)*60/100

また、これが日雇労働者の場合は、次式を使用します。

(平均賃金)=(1か月間に支払われた賃金総額)/(1か月間にその事業場で実際に労働した日数)*73/100

これで算定できない場合は、

(平均賃金)=(1か月間に同一業務に従事した日雇労働者に支払われた賃金総額)/(1か月間にその事業場で労働した日数)*73/100

となります。

3.雇い入れ3か月未満の場合

雇い入れ後3か月に満たない者については、計算期間は雇い入れ後の期間になります。

労働基準法でいうところの賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。

整理すると、

  • 労働の対償(労働した対価)としてもらうもの
  • 名称のいかんを問わない(賃金、給料、手当、賞与、基本給、ボーナス、退職金など)
  • 使用者が労働者に支払うもの(原則、チップはお客から労働者に支払われるので賃金ではない)

ただし、慶弔見舞金などのように恩恵として支払う場合は賃金となりません。しかし、

  • 慶弔見舞金等を就業規則に定めている場合
  • 慶弔見舞金等を就業規則に定めていなくても(従業員が10名以下の場合など)、すべての労働者に、慣例的に支払われている場合

は、賃金となります。

夏場に電力需要がひっ迫した場合には、計画停電がなされる場合があります。

このような計画停電が実際に実施された場合には、使用者は、労働基準法第26条の休業手当を支払う必要があるのでしょうか。

 

計画停電時に休業した場合の休業手当の取扱いについては、次のとおりです。(平成23年3月15日基監発0315第1号)

1  計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと。

2  計画停電の時間帯以外の時間帯の休業は、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電が実施される日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないこと。

3  計画停電が予定されていたため休業としたが、実際には計画停電が実施されなかった場合については、計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期を踏まえ、上記1及び2に基づき判断すること。
(参考)

(昭和26年10月11日基発696号より)

第1 労働基準法の運用について

1 法第26条関係
休電による休業については、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないから休業手当を支払わなくとも法第26条違反とはならない。なお、休電があっても、必ずしも作業を休止する必要のないような作業部門例えば作業現場と直接関係のない事務労働部門の如きについてまで作業を休止することはこの限りでないのであるが、現場が休業することによつて、事務労働部門の労働者のみを就業せしめることが企業の経営上著しく不適当と認められるような場合に事務労働部門について作業を休止せしめた場合休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。

2 以下略

Q:月給制と月給日給制、日給月給制とはどのように違うのでしょうか?

 

A:月給制や月給日給制、日給月給制という言葉は、労働法では登場しません。しかし、一般に使用されている使い方からその意味を考えてみます。

完全月給制とは、もし欠勤(年次有給休暇を除きます)があった場合でも、ノーワークノーペイの原則に反して、欠勤分の給与を差し引かない制度です。

それに比べて、月給日給制は、欠勤(年次有給休暇を取得した日を除きます)があった場合にノーワークノーペイの原則が適用され、欠勤分の給与は、月給額から差し引かれます。

日給月給制はといえば、1日を計算単位として給料が定められ、その支払を毎月1回まとめて支払う制度のことです。

では、月給日給制と日給月給制の金額は同じになるのか?といえば、そうでもありません。

例えば、家族手当がつく場合、家族手当の金額などは通常1か月の給料で固定されていますよね。あと、住宅手当なども同様だと思います。

月給日給制の場合、固定的な手当などがあれば、その分は差し引かれませんので、月給日給制の方が日給月給制より給料は高くなる可能性がたかくなります。

「ノーワーク・ノーペイの原則」とは、仕事をしなければ賃金を支払う必要がないということです。

では、どうして仕事をしなければ賃金を支払う必要がないのでしょうか?

 

それは、「労働契約」という契約の性質によります。

「労働契約」は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意することによって成立する契約です(労働契約法第6条)。

すなわち、労働契約を締結した場合(会社などに入社した場合)には、労働者は使用者に使用されて労働する義務がありますし、使用者はその労働に対して賃金を支払う義務があります。

これを権利としてみれば、使用者は労働者に対して労務の提供を(労働するように)請求する権利がありますし、労働者はその労働に対する賃金を請求できる権利があります。

したがって、原則、労働者が労働していない場合には、賃金の請求権は発生しないことになります。
(ただし、完全月給制のように、就業規則等で労働していない場合でも賃金を支払うという特別な契約があれば別です。)

例えば、月給日給制の会社に勤める労働者が寝坊などで遅刻をした場合に、ノーワーク・ノーペイの原則にしたがって、遅刻した時間分の賃金を減額することは、法律的に問題ありません。

なお、ノーワーク・ノーペイの原則にしたがって減額することと、遅刻したことをペナルティとして遅刻した時間分以上の賃金を減給することとは別物です。

まず、ペナルティとしての減給をするためには、減給について就業規則の懲戒などの項目に規定しておく必要があります。さらに、就業規則に規定する減給の金額には制限があり、1回の減給額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1以内であることが必要です。

また、労務が提供されなかった理由が、親会社の経営難から下請工場が資材資金を獲得できないなど使用者の責めに帰すべき事由に基づく場合は、使用者に休業手当の支払義務が生じます。