Q:特別教育、安全衛生教育、技能講習の違いがよく分かりません。

現在、クレーン・玉掛けの技能講習とチェーンソーの特別教育は取得しているのですが、

安全衛生⇒特別教育⇒技能講習⇒免許の順で責任が重く、内容も難しくかつ取扱範囲が大きくなる・・・と考えてもよろしいのでしょうか?

 

A:イメージとしては、おっしゃる通りです。

詳しくは、以下のとおり労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則に定められています。

 

(1)安全衛生教育

すべての従業員に対して、雇入れの際や異動した際に従事する業務に関する安全衛生教育をする必要があります。

 

(2)特別教育

一定の危険又は有害な業務に従事する従業員に対して、その従事する業務に関する安全衛生教育をする必要があります。

(特別教育が必要な業務の例)

・チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務

・つり上げ荷重が五トン未満のクレーンの運転の業務

・つり上げ荷重が一トン未満のクレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛けの業務

 

(3) 就業制限(免許と技能講習)

一定の危険又は有害な業務については、免許を受けた者又は技能講習を修了した者などの資格を有する者でなければ、その業務に就かせてはならないとされています。

 

免許が必要な業務なのか、技能講習でよい業務なのかについては、業務の内容に応じて細かく定められています。

(就業制限されている業務の例)

・つり上げ荷重が五トン以上のクレーン(跨線テルハを除く。)の運転の業務

・制限荷重が一トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が一トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務

 

もっともわかりやすい例として、移動式クレーンの運転の業務についてみてみますと、以下のように分類できます。

○つり上げ荷重が一トン未満の移動式クレーンの運転の業務・・・特別教育修了者(小型移動式クレーン運転技能講習修了者、移動式クレーン運転士免許を受けた者を含む)

○つり上げ荷重が一トン以上五トン未満の移動式クレーンの運転の業務・・・小型移動式クレーン運転技能講習修了者(移動式クレーン運転士免許を受けた者を含む)

○つり上げ荷重が五トン以上の移動式クレーンの運転の業務・・・移動式クレーン運転士免許を受けた者

 

ただし、すべての業務で、 特別教育<技能講習<免許 という段階があるわけではありません。

例えば、玉掛け業務では、つり上げ荷重一トン未満のクレーンを使用しての玉掛けの業務は特別教育でよいのですが、一トン以上のクレーンを使用しての玉掛けの業務では技能講習修了が必要です。

そして、玉掛けの業務にはその上の免許がありませんので、技能講習を修了すれば百トンクレーンの玉掛けの業務でも二百トンクレーンの玉掛けの業務でも資格的にはできることになります。

また、フォークリフトの運転の業務も同様で、最大荷重が一トン未満であれば特別教育でよいのですが、一トン以上であれば技能講習を修了する必要があります。

私自身が玉掛けや移動式クレーン、床上操作式クレーンの技能講習や特別教育の学科の講師をさせて頂いておりますので、これらの資格のことは受講生の方へ毎回お話をするようにしています。

 

※ ご指摘を受け、一部変更しました。

2 Thoughts on “安全衛生教育、特別教育、技能講習の違い

  1. yamayoshi taisuke on 2015年12月5日 at 10:27 PM said:

    初めまして。操作できるようになる機械の範囲について根拠が見いだせなかったのでご教示願いたいです。
    記事にも挙がっている移動式クレーンを例としますと
    >つり上げ荷重が五トン以上の移動式クレーンの運転の業務・・・移動式クレーン運転士免許を受けた者
    ということですのでバカ正直に解釈すると五トン未満の移動式クレーンについては操作ができないということになってしまいます。
    話は変わりますが、大型自動車運転免許を所持すると中型・普通自動車(及び原付・小特)についても運転資格が得られると道路交通法ではっきり条文化されわかりやすいのですね…
    お尋ねしたいのは、床上操作式クレーン運転技能講習ですが、これを修了すると、5トン未満のあらゆる(移動式除く)クレーンについても操縦可能になるのでしょうか?

  2. fukunaga on 2016年1月28日 at 8:16 PM said:

    ご指摘ありがとうございます。記事を修正しました。

    ご質問の床上操作式クレーン運転技能講習ですが、これを終了した場合には、
    1)5トン以上の床上操作式クレーン(床上で運転し、かつ、当該運転をする者が荷の移動と共に移動する方式のクレーン)と跨線テルハの運転ができます。
    2)5トン未満のクレーン、床上運転式クレーン、床上操作式クレーン、跨線テルハの運転ができます。

    この法律上の根拠ですが、労働安全衛生規則第37条では、

    事業者は、法第五十九条第三項 の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。

    とされており、これに関する行政通達として、以下のものがあります。

    〔特別教育の科目の省略が認められる者とは〕
    問:安衛則第37条により特別教育の科目の省略が認められる者は、具体的にはどのような者か。
    答:当該業務に関し上級の資格(技能免許または技能講習修了)を有する者、他の事業場において当該業務に関し、すでに特別の教育を受けた者、当該業務に関し、職業訓練を受けた者等がこれに該当する。
    (昭48.3.19 基発第145号)

    したがって、技能講習を修了している場合には、その下級の特別教育の科目の省略が認められる者となり、運転することができる者と考えられます。
    (個別の省略規定も探したのですが、見つかりませんでした。)

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